これまで取材を通じて、ミャンマーの郊外やスラムに住む人々の家を訪問してきた。
その際しばしば見かけたのが、水がたっぷりと入った大きなドラム缶やタンクだ。
玄関先や裏庭に置いてあるこのドラム缶。
中に溜めた水は、洗濯や皿洗いといった家事、トイレ、水浴びに使われている。
一体この水をどこで手に入れているのだろうか。
雨水を溜めているのか、それとも近くに川や池があるのか。はたまた、家の近くに井戸があるのだろうか。
インタビューした家庭の事例をもとに、ミャンマーのスラムの水道事情に迫りたい。
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訪問先について
ミャンマーのスラムってどんな所?
今回訪問したのは、ヤンゴンの中心部から車で1時間半ほど行った先にあるシュエピターという地域。工業団地があるため、メインロードでは大きなトラックを頻繁に見かける場所だ。
インタビューしたお宅があるのは、メインロードから歩いて10分程のエリア。
木や竹で出来た家が立ち並ぶスラムである。
「スラム」と聞くと何となく暗いイメージを抱くかもしれないが、このエリアには野菜やタバコ、日用品を売る小さな商店が立ち並んでいる。
露天商が道行く人に声をかけ、道端では小さな子どもたちが駆け回る、とても賑やかな場所だ。
では、家にお邪魔してみよう。
さっそくご自宅を訪問!
今回訪問したお宅のお母さんは、「うちには特別なものなんて何もないけど…。」と控えめに言いながらも私たちを招き入れてくれた。
家の中の様子が、こちらだ。
一家は9年前からこの場所に住んでいる。
毎月の家賃は、1か月30,000チャット(約3,000円)。
うーん、高いのか?安いのか?
怪訝な顔をする私に対して、お母さんは悪戯っぽく笑いながら一言付け加えた。
「住み始めた時は3,000チャット(約300円)だったのよ!」
…はい?
住み始めた頃が3,000チャット。今は30,000チャット。
9年間で、そんなにも土地の価格が変わったのだろうか。
するとお母さんは、
「土地の価格も確かに上がったけど、昔と違って今は電気代と水道代が含まれているからね。」
と説明してくれた。
確かに、家の中にはテレビや小さな扇風機が置いてある。
スラムでは充電式のバッテリーを用いて電気を使用する家庭が多いが、この家庭には公共の電力がきているそうだ。
(スラムの電気事情についてはコチラ)
では、水道は一体どこにあるのだろう?
「水は、近所にある共同の水道から汲んでくるのよ。」と、お母さん。
え、水道が通っているの?
見に行きたい!とリクエストするとお母さんは快く承諾し、私たちを家の外に連れ出してくれた。