ミャンマーのヤンゴン市内では、至るところで家の軒先に開かれるレストランをよく目にする。
このようなお店では、地元の人がプラスティック製の低い椅子に座り、食事をとっている。

道端で営業しているので衛生的とは思えず、お腹を壊さないかと不安になるが、勇気を出して入ってみると、絶品に出会えることもある。

今回インタビューしたのは、そんな大衆食堂を営むお父さんとお母さん。
地元の人たちにこよなく愛され、いつも賑わっている麺料理屋である。
日本の繁盛店でも1日の売上は約100杯だが、彼らはなんと140杯以上売り上げるそうだ。

6年目に突入したこのお店、その成長の秘訣に迫りたい。

お店がある町とは

今回の訪問先は、ヤンゴン中心部から車で約30分の距離にある南オッカラパ郡区である。

訪問先の町並み

数年前まではヤンゴンの片田舎、下町のようなところだったが、最近、ローカル向けアパートが建ち始めており、随分きれいになってきている。

そんな町の一角に、今回インタビューをした麺料理屋がある。

人気麺料理屋に潜入!

二人三脚で経営:絶品料理を作るご夫婦

このお店を営んでいるのが、こちらのお父さん(38歳)とお母さん(36歳)。
仕入れ、調理、配膳、片付けなど、全てを2人でこなす。

調理場に立つお父さんとお母さん

この調理場の奥が彼らの家になっており、子ども2人の4人家族で住んでいる。

見たら食べたくなる、2つの人気メニュー

この店には、人気メニューが2つある。
1つ目はシャンカウスエ。
ミャンマー中東部に位置するシャン州発祥の麺料理だ。
(「カウスエ」は麺を意味するミャンマー語。)

写真のような汁なしシャンカウスエが一般的だが、汁ありもある。

2つ目はシーチェ。中国から伝わってきた油そばだ。
鶏肉や揚げニンニクなどと混ぜて食べる。ワンタンを入れることもある。

ワンタン入りシーチェ

値段はどちらも、たった700チャット(約70円)。
ヤンゴンの有名店「999 Shan Noodle House」では、一杯2000チャット(約200円)ほど。
それを考えると、かなり安い。
ちなみに、お店を始めた当初は今より材料費が安く、1杯300チャット(約30円)だったそうだ。

営業時間は午前6時〜午後6時で、1日の売上は約100,000チャット(約10,000円)。毎日約140杯以上が売れている。この町の人気店だ。

仕入れの方法

メニューによって、具や麺の種類を変えているというこのお店。
それらの材料はどうやって仕入れているのだろうか。

仕入先は主に3つ。
1つ目は、徒歩圏内の市場である。毎日自ら足を運び、野菜やお肉など30,000〜40,000チャット(約3,000〜4,000円)分を仕入れる。

2つ目は、車で約40分の距離にある市場。シーチェの麺はここで買う。
ここへも2日に1回ほど、自ら足を運ぶという。

3つ目は、麺メーカー。シャンカウスエの麺を仕入れている。
製造元が2日に1回、麺を納品しに来る。1回20,000チャット(約2,000円)。
「前はこの麺も市場に買いに行っていたのよ。このサービスのおかげで、移動費もかからないし時間にもすこし余裕ができたわ。」とお母さんは言う。

苦労を乗り越え、人気店へ!

開業1年目:お店の根幹を作ったお母さん

このお店を始めたのは5年前のこと。
元々お母さんは麺料理の作り方を親戚の店で働きながら学んでいた。そして、2013年、200,000チャット(約20,000円)の融資を親戚から受け、お店を始めた。
驚いたことに、開業時、お父さんは出稼ぎでマレーシアにおり、お母さん1人でお店を開いたのである。

「1年目はひとりで仕事をしないといけなかったし、1日20杯ぐらいしか売れなかったのよ。本当に苦労したわ。」とお母さん。

お母さんの、ひとりでお店を始める行動力、あまり売れなくてもめげずに頑張り続けた忍耐強さがこのお店の根幹を作った。

お皿を洗うのはご近所さん?

インタビューの最中、近所のおばちゃんが何も言わずに調理場に入ってきた。
何をするのだろうと思って見ていると、なんと皿を洗い始めた。
びっくりしてお母さんに尋ねてみると、どうやら、開業当初から、近所の人たちが皿洗いなどの雑用を手伝ってくれているらしい。しかも、見返りは全く求めず、ただの善意でお手伝いをしてくれるのだ。

「私だけじゃ、1年目を乗り越えられなかったし、今のような繁盛もなかったわ」とお母さんは言う。

ご近所同士のつながりが強く、まるで家族ように助け合っている。
これが繁盛の理由の1つなのかもしれない。

因みに、お皿を洗うおばちゃんは、「ひとりで頑張っているのを見たら、助けたくなっちゃうの。あと私、暇だから(笑)」と言う。

お店を手伝う近所のおばちゃん

大切なのは客を幸せにすること

お父さんがマレーシアから帰り、2年目からは2人でお店を営んでいる。
そこから着実に売上を伸ばし、今では売上が開業当初の7倍以上になった。

お父さんに売上を増やすためにしたことを尋ねてみると、 「売上はそこまで気にしてないな。お客さんが幸せになることが一番大切!そのために、良い材料を使って美味しい料理を作ったり、お客さんを笑顔にしたりするんだ。」と答えた。

実際に、美味しいシーチェを作るために、麺をわざわざ遠くまで仕入れに行ったり、楽しく食事ができるように、お父さんは客と冗談を言い合ったりしている。

そこには、客を幸せにするという信念があるのだろう。だから、多くの人たちに愛されているのだ。

まとめ:3つの成長の秘訣

小さな町で1日140杯以上売り上げ、お店は人気店に成長した。
その秘訣は、①お母さんの行動力と忍耐強さ②近所との助け合い③客を幸せにするというお店の信念の3つだった。

最後に、何が彼らの原動力になっているのかを尋ねてみた。
すると、「お客さんの笑顔!子ども達の成長ももちろん大切だけどね。」と2人は答えた。
今まで「家族のために働く」という答えをよく聞いてきたが、彼らの口から最初に出てきたのは「お客さん」。

どこまでも他人思いなお父さんとお母さんだった。

話し手
世帯人数:4人 [父・母・子ども(2人)] ビジネス:麺料理屋
世帯月収:約500,000チャット(約50,000円)

 

【参考】
ラーメン屋開講講座/CASIO HANJO TOWN

返事を書く

コメントをご記入ください。
Please enter your name here